京で教師をしていた海人祐介(市原隼人)は2年前から、長野県白馬村にあるホテルコパンで働いていた。1998年の長野オリンピックで賑わった白馬村も、今では、かつての賑わいが嘘のように閑散としている。オーナーの桜木(近藤芳正)は、オリンピックの時のような活気を取り戻そうと躍起になるのだが、そう簡単に客は集まらない。もう一人の従業員のユリ(玄理)は、そんな桜木を尻目に無愛想に淡々と働いていた。

る日、スーパーでの「生産者の顔が見える野菜」の販売にヒントを得て、ホームページをリニューアルする桜木。すると偶然にも数組の宿泊客が訪れることになり、久々の盛況ぶりに喜ぶ桜井だったが、やってきたひとりの女性客の顔を見て、海人は顔をこわばらせ過呼吸に陥る。
その女性・千里(清水美沙)は中学校教師時代に担任した生徒・守(狩野見恭兵)の母親だった。守は中学校でいじめを受けていて海人はいじめから救おうと努力したのだが、努力も虚しく守は自殺をしてしまったのだった。ショックと自責の念にかられた海人は逃げるように東京を離れ、ホテルコパンに身を寄せ、人とのつきあいを避けるように働いてきた。

親の執念というべきか、逃げ出した海人をホームページのリニューアルによってようやく海人を発見しやってきたのだった。千里は滞在中、息子のいじめを知らされなかったこと、そして解決しないまま逃げ出したことについて陰湿に責め立てる。海人は突如、苦悩の日々に引きずり戻されるのだった。

方、他の滞在客もそれぞれ問題を抱えていた。カップルの美紀(大沢ひかる)と班目(前田公輝)、多額の負債を抱えている宗教団体の教祖・段来示(栗原英雄)と資産家令嬢・ひかる(水田芙美子)、昔は脚光を浴びていた老女優・舟木(李麗仙)とマネージャーの澤井(大谷幸広)。ホテルオーナーの桜木もまた、離婚した妻・美智代(遠山景織子)と娘・歩(山田望叶)と偶然再会してしまう。

信じてたものを失い、
人生の山場を迎える人々。
その先に待ち受けるゴール、
それぞれの見る未来とは…。